先人たちが遺した名句には、五音・七音のリズムの中に情景を凝縮させるヒントが詰まっています。代表的な夏の有名俳句を読み解き、作句の参考にしてみましょう。
■ 松尾芭蕉の名句
「閑さや岩にしみ入る蝉の声」
(季語:蝉 / 仲夏)
山形県の立石寺で詠まれた屈指の傑作。降り注ぐ蝉の声によって、かえってあたりの静寂が際立つという「動と静」のコントラストが見事に表現されています。
「五月雨をあつめて早し最上川」
(季語:五月雨 / 仲夏)
梅雨の雨を集めて激しく流れる大河のスケール感と水勢を、無駄のない言葉運びでダイナミックに切り取っています。
■ 与謝蕪村の名句
「夏河を越すうれしさよ手に草履」
(季語:夏河 / 三夏)
草履を脱ぎ、素足で冷たい夏の川を渡る心地よさと開放感が、五感を通じて生き生きと伝わってくる名句です。
■ 高浜虚子の名句
「白牡丹といふといへども紅ほのか」
(季語:牡丹 / 初夏)
白牡丹の純白の中にわずかに差す紅色を見逃さない、卓越した観察眼が光ります。