なぜ巨人の4番は、他球団の主砲とは比較にならないほどのプレッシャーに晒されるのでしょうか。歴代の打者たちが残した自著や特番インタビュー、現場での証言から、その過酷な実態が浮かび上がります。
松井秀喜はかつて、自著やインタビューのなかで「打てなかった日の翌朝、新聞の1面を見るのが本当に怖かった。4番が凡退して負けたとき、球場全体を包む数万人のため息はグラウンドの真ん中にいる者にしかわからない」と述懐しています。どれほど好成績を残していても、チャンスで1本出ないだけで激しいバッシングを受けるのが巨人4番の日常でした。
また、現役時代に「チャンスに弱い」とメディアや一部ファンから理不尽な批判を浴び続けた原辰徳も、後に「4番に座るということは、チームの全責任を背負い、批判の防波堤になること」と語っています。三振した打席の悔しさを一切顔に出さず、ベンチで堂々と前を向く姿勢が求められるのです。
阿部慎之助現監督も選手時代、キャッチャーとしての守備負担に加えて第72代4番を務める過密なプレッシャーと戦いました。阿部監督は「4番は打てないときにどう立ち振る舞うかが最も重要。下を向けばチーム全体のリズムが沈む」と語っており、グラウンド内外での精神的支柱としての役割がいかに重いかを現場目線で証言しています。
ネット上のファンコミュニティやSNS上でも、「巨人の4番が打たないとニュースのトーンが一変する」「他球団なら許されるスランプが、巨人だと大スランプとして連日報道される」といった声が根強く存在します。数字上の成績だけでなく、球界全体の世論と戦う精神力こそが巨人4番の絶対条件です。