巨人がFA補強を進める上で、ファンや球団内部が最も神経をとがらせるのが人的補償だ。国内FA市場では、移籍元球団が所属選手をAランク、Bランク、Cランクに区分し、A・Bランクの選手が移籍した場合は金銭補償に加えて人的補償が発生する。
ここで問題になるのは、巨人が「プロテクトできる若手の数」に限りがあることだ。2026年現在の巨人は、投手陣に一軍で台頭し始めた若手が多く、その中からプロテクトから漏れる選手が人的補償として流出する可能性が指摘されている。現場のスカウトや編成担当者は「補強すればするほど、次世代の芽を削るリスクがある」と本音を漏らすことも少なくない。
実際、近年の巨人FA獲得で人的補償として移籍した選手の中には、新天地で主力として花開いたケースも複数ある。巨人ファンの間では「人的補償の方が活躍する現象」として半ば自虐的に語られることも多く、SNSや5chでは「巨人FA補強は自分の首を絞めているだけ」「また若手が出ていくのか」といった書き込みが散見される。
一方で、球団フロントはこのリスクを承知した上で、あえてFA市場に参入している節がある。その理由を球団関係者への取材から読み解くと、「ファンへのメッセージ性」と「チーム内の競争激化」が大きい。巨人という球団は、補強をしないオフに厳しい視線が向けられる特異な環境にある。補強=球団の本気度を示す行為であり、それがたとえ結果に結びつかなくても、姿勢を見せることが球団経営の重要な要素になっているのだ。