被害者の多くは決して情報リテラシーが低い層ばかりではありません。医師や経営者、元金融機関職員など、一定の社会的地位や知識を持つ人々が数千万円規模の資産を騙し取られるケースが後を絶ちません。そこには人間の判断力を奪う高度な心理トラップが存在します。
代表的なのが「社会的証明の原理」と「権威への服従」です。詐欺グループは高級ホテルの大広間を貸し切った華やかな決算説明会を開催し、有名タレントや元官僚、著名インフルエンサーをゲストに招いて信用を演出します。「これだけの大規模なイベントを開き、著名人も推薦しているのだから安全だ」という集団心理が、個人の警戒心を完全に麻痺させます。
さらに、詐欺組織のピラミッド構造が被害拡大に拍車をかけます。首謀者を頂点に、統括役、中間幹部、勧誘員(リクルーター)が配置され、下位の勧誘員には出資額の数パーセントが紹介料として還元されるマルチ商法(MLM)形式が組み込まれます。これにより、被害者自身が知人を勧誘して加害者へと転落する負の連鎖が生み出されます。