この巨鳥の生命線を握っていたのは、間違いなく中東のメガキャリアであるエミレーツ航空 (Emirates)だった。同社はA380を100機以上運用し、ドバイを世界最大のハブ空港へと押し上げる原動力とした。贅沢な機内シャワースパや豪華なバーラウンジは、エミレーツのブランド価値を世界最高峰へと引き上げた。
だが、そのエミレーツでさえも、時代の流れには抗えなかった。燃料効率の悪さと、供給過多に陥る座席数のやりくりに苦しみ、ついに発注の一部を小型・中型機へ振り替える決断を下した。頼みの綱だったメイン顧客の注文キャンセル。これがトドメとなった。同社が購入を絞った瞬間、組み立てラインの稼働を維持する道は完全に絶たれたのである。