だが、サンフランシスコ・ジャイアンツも黙って引き下がるタマではない。
0対2とリードを許した直後の裏の攻撃。重苦しい空気を切り裂いたのは、リードオフマンとして3年目のシーズンを迎え、円熟味すら漂わせるイ・ジョンフのバットだった。追い込まれながらもファウルで7球粘り、外角いっぱいのスライダーを泥臭く三遊間へ転がす内野安打。泥だらけのユニフォームで一塁ベースを叩く姿に、沈みかけていたダグアウトが一気に息を吹き返す。
「どんな球でもフェアグラウンドへ弾き返す」。言葉にするのは簡単だが、メジャー屈指の球威を誇るナショナルズ投手陣を前にそれを実践するのは至難の業だ。イ・ジョンフが塁上で見せた細かな偽走、捕手の視線を逸らす絶妙なリード。相手バッテリーのリズムを狂わせる職人芸のような揺さぶりが、徐々にナショナルズの守備陣に小さな歪みを生んでいく。