劇中における主人公の最大の特徴は、酒が一切飲めない「下戸」である点だ。昭和や平成のドラマにおいて、夜の街や居酒屋の暖簾をくぐる主人公は決まって大酒飲みとして描かれてきた。しかし、彼は酒場に入ってもウーロン茶やジュースを頼み、堂々と飯を喰らう。
この設定が、飲酒文化の過渡期にある若年層やZ世代の共感を呼んだ。アルコールを飲まなくても居酒屋の空間を楽しみ、美味しい料理を心ゆくまで堪能していいという免罪符を与えたのだ。酒を飲まないことが「野暮」とされたかつての空気感を、彼はその圧倒的な食欲と独自の美学であっけらかんと塗り替えてしまった。