「若い衆が集まらないんじゃない。集めても食わせられないんだ」
長年組織の動向を見つめてきた古参関係者は、吐き捨てるように語った。シノギの手段が狭まり、組織に所属すること自体が重い社会的負債となる時代。幹部クラスの高齢化が進む一方で、若手は形式的な組員登録を避け、緩やかなネットワークでつながる特殊詐欺グループや匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)との境界線を曖昧にしているという。
「昔のように親子の盃で縛る時代じゃない。ドライな損得勘定だけで動く連中が増えた。上意下達のルールが通用しなくなっているのが一番の火種だ」
この証言が示す通り、組織の屋台骨を支えてきた強固な忠誠心は、急速に個人主義的な利害関係へと置き換わりつつある。内部で燻る不満の火種は、いつ暴発してもおかしくない緊張感を孕んでいる。