地面の上だけではない。移動体の世界でも揺れとの闘いは熾烈を極めている。開業に向けた試運転が続くリニア中央新幹線や、時速300km以上で営業走行を続ける新幹線車両において、走破時の車体動揺は乗客の乗り心地だけでなく走行安定性に直結する重要課題だ。
高速走行中の列車を襲う主な要因は、トンネル進入時の微気圧波や微小な軌道の狂い、そして横風だ。これらを相殺するために開発されたのが「フルアクティブサスペンション」である。台車と車体の間に配置された空気圧アクチュエータが、車体の微細な振幅を1秒間に数百回レベルで検知し、逆相の力を加えて完璧に相殺する。車内では、窓の外を流れる景色は凄まじいスピードであるにもかかわらず、コーヒーカップの水面すら波立たないという驚異的な静寂と平穏が実現されている。