メガホンをとるのは、数々のヒット作で独自の世界観を構築してきた谷口悟朗監督だ。緻密な人間ドラマと痛快なアクション演出に定評がある同監督だが、今作ではその真骨頂とも言えるSFブラックユーモアを遺憾なく発揮している。一筋縄ではいかないテーマ性を、極上のエンターテインメントへと昇華させる手腕はまさに圧巻の一言に尽きる。
監督自らが脚本の推敲を何度も重ね、キャラクターの持つ毒と救いを極限まで研ぎ澄ませたという。SF的な構築美の中に散りばめられたブラックな笑いは、視聴者の倫理観を揺さぶりつつも、強烈な快感を与える。谷口監督の持つエッジの効いた演出センスが、本作を単なる流行りものから普遍的な芸術作品へと引き上げている。