オフィスを歩くと、かつて主流だったライトグレーの床が急速に姿を消していることに気づく。代わりに視界へ飛び込んでくるのは、インディゴ、コバルト、ネイビーといった多様なトーンのブルーだ。
色彩心理学の観点から見れば、青は副交感神経を優位にし、脈拍や体温をわずかに落ち着かせる色として知られている。深い集中状態、いわゆる「ゾーン」に入りやすい心理的土台を整えるのだ。長時間ディスプレイに向き合うエンジニアやクリエイターの作業エリアに濃紺を配し、ディスカッションを行うオープンスペースには明るいシアンやスカイブルーを取り入れるといったグラデーション設計が、先進企業のフロアデザインで標準化しつつある。
視覚的なゾーニングは壁を必要としない。壁を建てずに床の色だけで「集中領域」と「対話領域」を直感的に切り分けられるため、空間の開放感を損なうことなくレイアウトの柔軟性を保てるのが最大の強みだ。