短期間での再感染を引き起こす主犯格は、絶え間なく変異を繰り返すオミクロン株変異体の派生系統群だ。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長が定例会見で警鐘を鳴らし続けている通り、ウイルスの進化速度は人類の獲得免疫の更新スピードを依然として上回っている。
国内外のCOVID-19ゲノムサーベイランスプロジェクトが解析した分子構造データによれば、最新の変異株はスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)に複数のアミノ酸置換を獲得している。これにより、直前の感染によって体内に作られた中和抗体がウイルスの表面に結合できず、すり抜けてしまう「免疫逃走能(イミューン・エスケープ)」が極めて高度化している。直前に別のサブ系統に感染したばかりであっても、異なる変異を持つ系統に対しては、獲得した中和抗体がほとんど役に立たない事態が起きているのだ。