物語は、島で起きたある不可解な失踪事件を発端に急展開を迎える。一見すると平穏に見える島民たちの暮らしの裏に潜む、複雑に絡み合った血縁関係と過去の密約。真相に迫るほどに暴かれていく重厚なサスペンスの仕掛けに、観る者は息をのむはずだ。
しかし、本作の真骨頂は単なる謎解きにとどまらない。罪と罰、許し、そして孤独な人間同士が不器用につながり合う姿を描く濃厚なヒューマンドラマとしての側面だ。脚本を手掛けた是枝監督は、人間の善と悪の境界線を曖昧に描き出す。極限状態に置かれた人々が見せる感情の揺らぎや吐息までをも拾い上げる演出は、見る者の胸を深く刺す。