「太宰さん、嫌いです」三島由紀夫が放った言葉の裏と確執の真相

「太宰さん、嫌いです」三島由紀夫が放った言葉の裏と確執の真相

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昭和21年の冬、文芸評論家の亀井勝一郎を囲む酒席が東京・中野で開かれた。その場には無頼派の巨頭として若者の熱狂的支持を集めていた太宰治がおり、そこに絣(かすり)の着物を着流した東大法学部の学生、のちの三島由紀夫が現れる。

周囲が太宰をちやほやともてはやす異様な熱気の中、三島は終始硬い表情を崩さず、正面から太宰を睨み据えていた。そして座の空気を切り裂くように、冷ややかに言い放った。

「僕は太宰さんの文学はきらいなんです」

居並ぶ先輩作家たちが凍りつく中、太宰は一瞬虚を突かれたような顔を見せた後、ふっと顔を背けて隣の客へこう呟いたという。

「そんなこと言ったって、こうして来てるんだから、好きなんだよな。なあ、やっぱり好きなんだ」

若き三島による渾身の宣戦布告は、太宰一流の老獪なアイロニーによって受け流された。この太宰治と三島由紀夫の直接対決は、二人の天才が交錯した最初で最後の酒席として、今なお語り継がれる文豪の逸話となっている。

小林 直樹
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小林 直樹

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