鷲尾愛宕神社のご利益において最も参拝者を惹きつけるのが、相反するように見える「悪縁切り」と「縁結び」が同時に祈願できる点です。この背景には、祀られている御祭神の性質と信仰の成り立ちが深く関係しています。
主祭神の火産霊命は「火の神」であり、あらゆる不浄や悪縁、災厄を焼き尽くす圧倒的な浄化作用を司ります。古くから「悪運を断ち、悪癖を断つ」神徳として崇められ、現代では人間関係のもつれだけでなく、タバコやお酒への依存を断ち切る「禁煙祈願・断酒祈願」の聖地としても全国的な知名度を誇ります。
一方、鷲尾神社の主祭神である天照皇大神と天忍穂耳命は、万物を生み育てる産土の神威を持ちます。現地取材で神職関係者が語るように、「ただ縁を切るのではなく、まず自分の中の悪習慣や不要な執着を火の神に焼き清めてもらい、更地になった心に本来結ぶべき良縁を結び直す」という循環こそが、この神社独自のご神徳です。
社頭には、悪縁を断ち切って良縁を招く「結び守り」や、四季折々の花をあしらった「おみくじ」、古来の火防信仰を受け継ぐ「ほおずき守り」など多彩な授与品が並び、多くの参拝者が人生の再スタートを祈願しています。