日本の甘味の根底には、常に茶の湯の精神が流れている。戦国期、千利休が大成させた茶の湯において、茶菓は抹茶の鮮烈な苦味と旨味を引き立てるための無二の相棒だった。そのミニマリズムの思想は、何百年もの時を超えて現代の甘味空間にも息づいている。
室町時代後期創業の歴史を誇る株式会社虎屋をはじめとする老舗が、伝統を墨守するだけでなく、現代的なカフェ形態を通じて伝統菓子の再解釈を提示し続けているのは象徴的だ。小豆の選定、渋抜きの温度、砂糖の純度。気の遠くなるような職人の手仕事と、現代的なペアリングの技法が交差する。急須から注がれる日本茶の一滴と、職人が練り上げた餡が舌の上で溶け合うとき、私たちはこの国が育んできた和菓子・日本茶文化の深淵に触れることになる。