2016年夏、15年に及ぶ『BLEACH』の連載が全74巻で幕を閉じた際、一部のインターネット上では唐突な幕引きから「打ち切りではないか」という憶測が飛び交いました。しかし、その真相は過酷を極めた身体の限界と戦い抜いた末の完結でした。
連載終盤、久保先生は深刻な体調不良に苦しんでいました。後に公式インタビューや自身の発信で明かされたところによると、連載第10期を迎えたあたりから体調を崩しがちになり、最終盤には左肩の腱を断裂した状態で執筆を続けていたといいます。毎日のように激痛と部分的な麻痺に襲われながらも、週刊連載のスケジュールを守り原稿を仕上げる過酷な日々が続いていました。
「作品のクオリティを落とさず、自分の思い描いた結末まで届けること」を最優先にした結果、当初の構想通り全74巻で物語を完結させる道を選びました。病床にいた匿名のファン少年から届いた手紙に励まされ、最後まで筆を止めなかったというエピソードは、ファンの間でも深く胸を打つ制作秘話として語り継がれています。
最終回では、ユーハバッハとの死闘から10年後の世界が描かれ、黒崎一護と井上織姫、阿散井恋次と朽木ルキアの結婚やその子供たちの世代へと希望が託される結末を迎えました。これは打ち切りによる拙速な幕引きではなく、満身創痍の中で久保先生が読者へ届けた渾身のグランドフィナーレでした。