試合前日に行われる公式計量の場は、井上尚弥選手の肉体美が最も先鋭化するハイライトの一つです。限界まで水分と脂肪を削ぎ落とし、皮膚の下に浮かび上がる血管や筋繊維の陰影は、見る者に息を呑むような迫力を与えます。特に背後を向けた際に見せる、漫画『グラップラー刃牙』の登場人物になぞらえられる「鬼の貌(かお)」のような背筋のカットは、国内外の記者陣からも感嘆の声が上がります。
バイオメカニクスおよび運動生理学の視点から見ても、井上選手の広背筋や脊柱起立筋、僧帽筋の発達は際立っています。強烈な左フックや相手のガードを打ち砕くストレートの推進力は、この強靭な背面のキネティックチェーン(運動連鎖)から生み出されています。
大橋ジムでの過酷なスパーリングやサンドバッグ打ち、階段ダッシュなどの練習風景を捉えた記録写真からも、一過性の筋肥大トレーニングではなく、日常の極めてストイックな反復練習によって構築された肉体であることが明確に読み取れます。