加賀恭一郎によってすべての真相が暴かれたとき、親子が選んだ結末はあまりにも悲壮でした。
これ以上の殺人を重ねさせないため、そして父を苦しみから解放するため、博美は自らの手で父親の首を絞めることを決意します。父親もまた、娘の手にかかって死ぬことを望んでいました。アパートに火を放ち、すべてを灰に帰そうとする二人。
「よく頑張ったな、博美」
死の間際、父親が娘にかけた言葉は、世間の倫理からは到底許されない犯罪者のものですが、同時に究極の親子の愛の形でもありました。
タイトルの『祈りの幕が下りる時』。この「祈り」とは、娘の幸せを願い続けた父親の祈りであり、父の魂の救済を願った娘の祈りです。そして、その哀しい芝居の幕を引く役割を担ったのが、同じく孤独な母の死の真相を追い求めていた加賀恭一郎だったのです。