今、アート界で最も熱い視線を集めているのが、今春からスタートする巡回展「米倉斉加年:宿る魂、揺らぐ境界」だ。彼の生まれ故郷である福岡を皮切りに、東京の主要美術館を回るこの展覧会では、これまで未公開だった初期のデッサンや、劇団民藝時代に楽屋の片隅で描かれた貴重なスケッチなど、約300点が展示される。
美術評論家の間では、単なる懐古趣味の展示ではないという評価が定着しつつある。展示室に一歩足を踏み入れると、そこには大正ロマンや竹久夢二の系譜を引き継ぎながらも、より深く、ドロリとした人間の深淵を覗き込むような世界が広がっている。生前、彼が「絵は僕の祈りそのもの」と語っていた意味が、展示された作品群の圧倒的な筆致から伝わってくる。