鈴木の役作りを支えるもう一つの柱が、狂気的とも言えるインプット量だ。彼は新しい役に入る際、その人物の生い立ちから、小学校時代の初恋相手、愛読書、さらには挫折した経験までを網羅した「キャラクターノート」を自ら作成する。
これは台本には一切描かれない裏設定だ。しかし、この膨大なバックストーリーがあるからこそ、劇中での何気ない一言や、他者に向ける視線に圧倒的な説得力が生まれる。彼はかつてインタビューで「その人物がなぜその服を選び、なぜその話し方をするのか、理由が分からないままカメラの前に立つことはできない」と語っていた。その哲学は、キャリアを重ねた現在も一切ブレていない。