捜査の潮目が変わったのは、京都府警察が押収したファミリーカーの検証作業だった。現場となった住宅街は道幅が狭く、外部からの侵入者が目撃されにくい入り組んだ地形が広がる。男児が忽然と姿を消した時間帯、周囲の防犯カメラには目立った不審人物の姿は捉えられていなかった。
そこで捜査員が着目したのが、行方不明男児の父親が日常的に使用していた車両の前後に装着されていた最新型ドライブレコーダーだ。高解像度の常時録画機能に加え、衝撃検知や駐車監視機能を備えたハイエンドモデル。だが、提出された端末の内部ストレージを確認した鑑識官は、ある異様な痕跡に目を留めることとなった。肝心の失踪時間帯を含む前後のファイルが、意図的に上書き・削除されたかのような不自然な断絶を見せていたからだ。