鞍馬山を語る上で欠かせないのが、歴史上の英雄・源義経(牛若丸)の存在だ。幼少期、平家の目を逃れて鞍馬寺に預けられた少年・牛若丸は、この峻険な山中で夜な夜な剣術の修行に励んだと伝えられる。
漆黒の闇に包まれた山中で彼に武術を授けたとされるのが、異形の法力を持つとされる鞍馬天狗だ。鞍馬の深い森には古くから数々の天狗伝説が語り継がれており、巨木が立ち並ぶ僧正ヶ谷は、天狗たちが夜な夜な集った場所とされてきた。
地表一面に硬い岩盤が広がるため、樹木の根が地下深く伸ばせず、まるで脈打つ神経のように地表を覆いつくす「木の根道」。この不気味なほどに力強い景観の中に立つと、若き日の義経が跳躍し、天狗と刃を交えた伝説が単なる空想ではないかのような錯覚に陥る。歴史と伝承がリアルに交錯する瞬間だ。