実刑判決を受け、服役生活を送った彼が手記として発表した著書『溶ける 大王製紙前会長 井川意高の告白』は、出版界に巨大な激震を走らせた。自らの赤裸々な罪と欲望、カジノの暗闇で感じた悪魔的な全能感と絶望を包み隠さず吐露した内容は、瞬く間にベストセラーとなり、多くの読者を言葉を失わせた。
単なる言い訳や自己正当化に終始することなく、己の弱さと狂気を冷徹なまでに客観視した文章。そこには、栄光の頂点から地獄の底へと転落した者だけが知り得る凄惨な人間ドラマが凝縮されていた。この手記の存在によって、事件は単なる報道上のニュースから、時代を象徴する文学的ノンフィクションへと昇華したのである。