男性のフォーマルウェアにおいて最高格とされるのがモーニングコートだ。昼間の式典や告別式において、喪主や親族などの限られた立場でのみ着用される。切り落とされた前裾とウールの上質な質感、そして縞模様のパンツが静かな威厳を漂わせる。
現代の日本で最も広く流通し、多目的に使われているのがブラックスーツだ。ビジネススーツの黒とは異なり、深い黒色染料で何度も染め上げられた特殊な生地が用いられる。光を吸収するような深みのあるマットな質感が特徴だ。急な告別式から法要までカバーできる万能さを持つが、ダブルブレストかシングルブレストか、あるいは襟の形によっても醸し出す印象が変わる。生地の光沢をいかに抑えるかが、弔事用ブラックスーツを見極める決定的な境目となる。