街の一角に立つ「金沢市西茶屋資料館」は、ただの展示施設にとどまらない深い歴史の記憶を宿している。かつてこの場所にあったお茶屋は、大正時代に一世を風靡した小説『地上』の著者である作家・島田清次郎が幼少期を過ごした場所でもある。
館内には、大正文学の鬼才として駆け抜け、若くして波乱の生涯を閉じた島田清次郎に関する貴重な資料や初版本、当時の書斎の再現展示が並ぶ。また、二階には再現された茶屋のお座敷があり、金沢の芸妓文化の歴史や道具、衣装の意匠を間近で観察できる。入場無料でありながら、この街の奥深い精神性に触れられる隠れた名所と言える。