金沢市内を現地調査すると、観光客と地元住民の間で行動様式が鮮やかに二極化している実態が浮かび上がります。
新幹線改札から徒歩数分の金沢駅周辺や、観光の中心地である近江町市場に位置する店舗は、旅行情報誌やSNSの拡散によって連日長蛇の列を形成しています。特に「もりもり寿し 近江町市場店」の混雑状況は凄まじく、休日の昼時には発券から入店まで120分〜180分待ちを記録することも珍しくありません。貴重な旅行日程のうち2〜3時間を店頭のベンチで消費してしまう光景は、現場取材でも頻繁に目にする光景です。
一方、自家用車を所有する地元のサラリーマンや家族連れが向かうのは、金沢バイパス(国道8号)や石川県庁周辺に点在するロードサイド型の大型店舗です。代表格が「すし食いねぇ! 県庁前店」や「金沢まいもん寿司 本店」、さらには能登発祥の実力派「すしべん」が手掛ける寿司業態や「海天すし」といった地域密着店です。
地元民が中心街の店舗を避ける理由は、単に混雑を嫌っているからだけではありません。郊外店は敷地面積が広く専用駐車場を完備しているだけでなく、仕入れられたばかりの「地物(じもの)」が売り切れるスピードが緩やかであり、さらには職人と常連客の心地よい距離感が保たれているという実利的なメリットがあるためです。レンタカーを借りている旅行者であれば、わずか15分〜20分車を走らせて郊外店を目指すだけで、待ち時間を半分以下に圧縮しつつ、地元と同じリラックスした空気感の中で極上の寿司を味わうことができます。