結論から言えば、のし袋の中袋に「金一万円」と略式の漢数字で書くことは、重大なマナー違反やタブーではありません。しかし、冠婚葬祭の正式な儀礼においては、旧字体(大字=だいじ)を用いた「金壱萬円」と表記するのが最も丁寧な作法とされています。
なぜ日常で使う「一、二、三、十」ではなく、「壱、弐、参、拾」という複雑な壱萬円 漢数字 大字を用いるのか。その理由は、古来の商業取引や法的な金銭証書における「数字の改ざん防止」にあります。例えば、「一」の字は一本線を足せば「十」や「三」に容易に書き換えられてしまいます。「萬(万)」や「円(圓)」も同様に、線の加筆による不正を防ぐ目的で公文書や小切手に大字が義務付けられてきました。
この商習慣が慶弔儀礼にも引き継がれ、相手に対して「正確な金額を間違いなく包みました」という誠意と敬意を示す証として定着しました。現代の結婚式や葬儀において改ざんを疑う場面はまずありませんが、格式の高い結婚披露宴や厳格な仏事においては「金壱萬円」と書くのが無難で確実な選択となります。