近衛十四郎を語る上で欠かせないのが、日本芸能界屈指のサラブレッド家系の存在です。私生活では元女優の水川八重子と結婚し、家庭を深く愛する父親としても知られていました。
長男は昭和から平成の日本映画界を代表する大スターとなった松方弘樹(本名:目黒浩樹)、次男は国際派俳優として映画やドラマで重厚な存在感を放つ目黒祐樹です。さらに孫の世代には、俳優の仁科克基、タレントの仁科仁美(ともに松方弘樹の子供)、女優・作家として活動する近衛はな(目黒祐樹の娘)がおり、表現者の血脈が現代へと脈々と受け継がれています。
生前の近衛十四郎は、息子たちに対して家庭内では温厚な父親であった一方、芸事に関しては極めて厳しい姿勢を貫きました。松方弘樹は生前のインタビューで「親父の立ち回りは次元が違った。どれだけ稽古を重ねても、親父の刀の重さと迫力には一生追いつけないと感じていた」と語っています。また、目黒祐樹も兄とともに父の背中を追い続け、後に父の当たり役であった『柳生十兵衛』や『素浪人』の関連作品に出演するなど、偉大な父への敬意を行動で示し続けました。