カレンダーに記された記念日を眺めていると、「なぜこの日が?」と疑問を抱くユニークな名称に遭遇します。例えば、9月3日を取り上げるだけでも、王貞治氏が通算756号本塁打の世界新記録を達成した「ホームラン記念日」や、国民的キャラクターである「ドラえもんの誕生日」といった著名な節目が並ぶ一方で、「ベッドの日(good sleep day)」や「グミの日」、「クエン酸の日」といった生活に密着した記念日が密集しています。
こうした面白い記念日の真相を紐解くと、そこには企業の綿密なマーケティング戦略と、一般社団法人日本記念日協会による厳格な認定審査のプロセスが存在します。同協会の公表資料によると、日本国内で正式登録されている記念日は数千件に達し、毎年新たな申請が寄せられています。「ベッドの日」は「グッ(9)スリ(3)」の語呂合わせから全日本ベッド工業会が睡眠環境の見直しを促すために制定したものであり、「グミの日」も「グ(9)ミ(3)」の響きからUHA味覚糖などのメーカーが市場活性化を目指して申請した経緯があります。
「単なるこじつけではないか」と冷ややかに見る向きもあるかもしれません。しかし、広報担当者の証言によれば、消費者の関心が細分化した時代だからこそ、カレンダーという共通言語を通じて自社製品や社会課題へ視線を誘導する試みは、極めて費用対効果の高いブランディング手法として機能しています。語呂合わせの軽妙さの裏には、人々の記憶に自社カルチャーを定着させようとする企業側の執念と計算が潜んでいるのです。