津久井湖を訪れた多くのアングラーが驚くのが、「朝にボートを出した時と夕方戻ってきた時で、足場の高さがまったく違う」という急激な水位変化です。この現象の背景には、津久井湖ならではの構造的理由と治水オペレーションが存在します。
主な水位変動の要因は次の3つに集約されます。
第一に、城山発電所による純揚水発電の運用です。津久井湖は下部ダムであり、山頂側にある本沢ダム(城山湖)を上部ダムとしています。電力需要が少なく電気料金が割安な夜間(深夜から早朝)に津久井湖の水を本沢ダムへポンプで汲み上げ(揚水)、電力需要がピークを迎える日中・夕方に上から水を落として発電放流します。このため、降雨が一切ない晴天の日であっても、一晩で1〜2m水位が下がり、昼から夕方にかけて一気に増水するという極めて特殊なサイクルを描きます。
第二に、季節ごとの制限水位(夏期減水)です。梅雨や台風シーズンを迎える夏季は、突発的な豪雨による洪水を防ぐため、あらかじめ貯水容量を空けておく「夏期制限水位」が設定されます。この期間は全体として満水時より数メートル低い水位でキープされ、湖畔の地肌が大きく露出します。
第三に、台風・豪雨接近に伴う事前放流です。気象庁の大雨予報に基づき、ダム流入量の急増が予測される場合、ダム管理規定に従って計画的な事前放流が行われ、一時的に記録的な大減水状態となることがあります。