2026年春、近江友里恵のNHK退職が報じられた際、世間では「大手芸能事務所への移籍か」「フリー転身で年収数倍か」といった憶測が飛び交いました。しかし、彼女が選んだのは完全にメディアの表舞台から退く「民間企業への転職」でした。この異例の決断に至った背景には、アナウンサー時代に経験した2つの看板番組が深く関係しています。
第1の契機は、2016年から2年間アシスタントを務めた『ブラタモリ』です。タモリとともに日本各地を歩き、地形、地質、歴史的背景が都市の構造をいかに決定づけているかを肌で体感した経験が、彼女の中に「都市の成り立ち」への強い興味を植え付けました。現場で専門家から受ける解説に誰よりも熱心に耳を傾け、自らメモを取る姿は当時から制作現場で有名でした。
第2の契機は、有働由美子アナの後任としてメインキャスターを務めた『あさイチ』です。毎朝、生活者のリアルな悩み、社会課題、地域再生の取り組みを取材・発信する中で、「情報を伝える側」から「空間や仕組みそのものを創り出す当事者になりたい」というパラダイムシフトが起きました。退職時の生放送で語った「新しい街づくりに関わる仕事に挑戦したい」という言葉は、長年温め続けてきた本心からの決意表明でした。