「一年かけて準備してきた球を上げられない悔しさは言葉にならない」。三国花火を長年支えてきた熟練の煙火店店主は、工場に保管された大輪の二尺玉を前に視線を落とした。
巨大な二尺玉の製造には、高度な職人技と膨大な時間が必要とされる。一度製造した花火玉は長期間の保管が難しく、安全上の理由から解体処理や保管コストが別途発生する。伝統の技を若手に受け継ぐ場でもあった夏の晴れ舞台が失われることは、花火文化そのものの衰退に直結しかねない。職人たちの焦燥感は、単なる一イベントの取りやめという枠を超え、日本の伝統工芸が直面する危機的状況を物語っている。