『3年B組金八先生』第2シリーズにおける最大の転換点は、第5話・第6話で描かれた「腐ったミカンの方程式」でした。問題児として前籍校の荒谷第二中学校(通称・荒谷二中)を追われ、桜中学校の3年B組へ転校してきた加藤優。荒谷二中の教師たちは「箱の中に腐ったミカンが一つあれば、放置すれば他の健全なミカンまで腐ってしまう。だから排除するのだ」という論理で、彼を体よく追い出しました。
この冷酷なシステム論に対し、武田鉄矢演じる坂本金八が職員室で放った叫びは、当時の視聴者の胸を激しく揺さぶりました。「我々はミカンを作ってるのではない、人間を育てているんだ!」。機械的な選別と管理に傾倒していた当時の教育現場に対し、ドラマは真っ向から疑問を突きつけたのです。
当時のTBS制作スタッフの手記によると、脚本を手掛けた小山内美江子は、当時多発していた学校荒れや金属バット事件などの実態を徹底取材し、教育現場の制度疲労をリアルに告発することを目指していました。加藤優という存在は、単なるフィクションの不良少年ではなく、大人たちの身勝手な論理によって「不良」というレッテルを貼られた子どもたちの悲痛な叫びそのものでした。