HeMの歩みを語る上で、ドイツ出身の著名デザイナーであるマーク・サンドラーの存在を外すことはできない。1999年に誕生したこのブランドは、彼の手によって「空気のように自然で、実用的でありながら美しい」という独自の哲学を吹き込まれた。当時、ストリートカジュアルファッションが爆発的な盛り上がりを見せる中、シンプルでありながら強い存在感を放つHeMのバッグは、感度の高い若者たちの心を瞬く間に掴んだ。
アパレル産業全体が過剰な装飾やロゴ主張に走る時代にあっても、サンドラーの設計思想は一貫していた。無駄を削ぎ落としたフォルム、身体に寄り添うカッティング、そしてタフな素材使い。時代が移り変わり、バックパックに対する消費者の要求が「見た目の良さ」から「道具としての完成度」へとシフトした現在、HeMの原点にある思想はより一層の輝きを放っている。