高校入学初期の彼を覚えているだろうか。身長202センチ。誰もが羨む圧倒的な体躯を与えられながら、動きは鈍く、スタミナもなく、ただ「デカいだけ」と揶揄される存在だった。田岡監督の厳しい指導に耐えかね、体育館の影で「もう辞めたい」と弱音を吐いた夜がある。
凡人ならば挫けて逃げ出していたかもしれない。しかし、彼は踏みとどまった。「自分がチームの土台になる」という覚悟を決めた瞬間から、彼の泥臭い美学が動き始める。華麗なダンクや流れるようなドリブルはない。ただ愚直に体当たりをし、リバウンドを拾い、味方のスクリーナーとなる。その汗と摩擦の痕跡こそが、彼というアスリートの本質だ。