この地に刻まれた歴史は深い。かつて明治から昭和にかけて、日本毛織の中山工場として日本の繊維産業の一角を担っていた広大な土地は、時代の趨勢とともに市民が集う都市型複合施設へとその姿を変えた。敷地内の一角にたたずむ赤れんが造りの「ニッケ鎮守の杜」や「手織工房」は、ここがかつて織物の町であった記憶を今に伝える貴重な遺構だ。
商業施設としての規模感だけでなく、こうした企業の歴史的資源を無機質な解体で終わらせず、緑地や文化スペースとして都市の余白に変換した計画設計は、当時としても先進的であった。開発から四半世紀以上が経過した現在も、単なるショッピングセンターとは一線を画す独特の温もりと風情を醸し出している背景には、こうした歴史的脈絡が存在する。