日本で最も広く知られているICカードマスコットといえば、JR東日本のSuicaのペンギンです。愛くるしい瞳とシュールな立ち姿で世代を超えて愛されていますが、実は彼には「固有の名前」が存在しません。公式な扱いは一貫して「Suicaのペンギン」であり、個別の名前を付けないことで利用客一人ひとりが親近感を抱ける余白を残しています。
このペンギンを手がけたのは、人気絵本作家・イラストレーターの坂崎千春氏です。もともと坂崎氏の絵本『ペンギンゴコロ』に登場していた南極生まれのアデリーペンギンが原型となっており、「ペンギンたちが空を飛べない代わりにスイスイ海を泳ぐ姿」が、改札を「スイスイ行ける」Suicaのコンセプトと合致したことで起用されました。
設定上のディテールも秀逸です。好物は魚肉ソーセージ、果物、おにぎり。東京の生活にもすっかり馴染んでおり、季節ごとにサーフィンを楽しんだり読書に耽ったりと、人間味あふれる暮らしぶりを描いたビジュアルがファンを虜にし続けています。