多くの日本人にとって本作との出会いの場となったのが、光村図書出版が発行する小学校の国語教科書だ。小学3年生の教材として長年にわたり採録され続け、幾世代もの子どもたちが豆太の走る姿に息をのんできた。教科書という共通体験を通じて、国民的な物語として定着した意義は極めて大きい。
一方で、単行本としての出版を手がけてきた理論社の貢献も見逃せない。半世紀以上にわたり重版を重ね、家庭の書棚や図書館の目立つ場所に置かれ続けてきた。教科書で出会った子供たちが、親となり、今度は我が子にその絵本を手渡していく。出版業界における息の長いロングセラーの象徴として、その足跡は今も更新されている。