旅館のすぐ隣で昼夜を問わず活況を呈しているのが、直営の「紀伊国屋食堂」だ。手軽なファストフードや食べ歩きグルメが台頭する現代の湘南エリアにおいて、頑ななまでに本格的な日本料理・海鮮料理の技術を守り抜いている。
朝一番に地元片瀬漁港や近郊の漁場から届く旬の鮮魚。板前の手によって瞬時に捌かれ、皿の上に芸術のように並べられていく。派手な演出に頼らない。素材の命を丸ごといただくという、日本の食文化の神髄がここにはある。生け簀で泳ぐ地魚の活きの良さを見れば、食通たちが足繁く通う理由が一瞬で理解できるはずだ。