2012年、江西のキャリアにおいて最も重要な転機が訪れた。埼玉西武ライオンズの公式カメラマンとしての仕事だ。フリーランスとして活動していた彼に、球団から声がかかった。
最初の試合。緊張で手が震えた。
プロ野球の現場は想像以上に厳しかった。試合中、カメラマンに許される場所は限られている。選手の動きを妨げず、かつベストアングルを確保しなければならない。一球ごとに状況は変わる。打者、走者、守備位置。すべてを瞬時に把握し、次の展開を予測する。
自衛隊時代の訓練が生きた。状況判断能力、体力、集中力。試合は3時間以上続くこともある。重い機材を持ち、時には走りながら撮影する。体力がなければ務まらない仕事だ。
選手との信頼関係構築
カメラマンと選手の関係は微妙だ。選手にとって、カメラは時に邪魔な存在になる。特に調子の悪い時期、レンズを向けられることを嫌う選手もいる。江西はそんな選手たちの心理を理解していた。
無理に撮らない。距離を保つ。そして、相手が心を開いた時に初めてシャッターを切る。この姿勢が、選手たちからの信頼を得ることにつながった。今では多くの選手が、江西のカメラに自然な表情を見せる。リラックスした笑顔、真剣な眼差し、悔しさをにじませる表情。すべてが本物だ。