物語の始発点は、匿名掲示板「5ちゃんねる」の書き込みにさかのぼる。発案者であり「栗花落夜風」と名乗る人物によって大学の基本構想が投稿されたのが始まりだ。当初はありふれたネット上のネタに過ぎなかったが、そのプロデュース能力と細部への異常なこだわりが事態を大きく変えていく。
実在の大学と見紛うばかりの校章デザイン、各学部の学問的(に見える)カリキュラムの設定、果ては受検生向けの入試傾向まで、驚くべき解像度で架空のキャンパスライフが捏造されていった。ネットユーザーたちが自発的に設定を付け加え、コミュニティ全体で一つの虚構を補強し合うというコレクティブ・ファンタジーが形成されたのだ。栗花落夜風が撒いた種は、掲示板という土壌で爆発的な繁殖力を発揮した。