タイトルが示唆するように、本作はサブカルチャー領域で発展してきた「百合 (ジャンル)」の要素を、高度な文芸映画の文脈へと見事に昇華させた点でも画期的だ。年齢も生きてきた背景も異なる二人の女性が抱く感情は、従来の家族愛や師弟愛という概念だけでは割り切れない、濃密で不可分な精神的絆として描かれる。
性別や世代の壁を越えた魂の引き寄せ合いをあえて「百合 (ジャンル)」のエッセンスを取り入れながら丁寧に紡ぎ出すアプローチは、多様化する現代の鑑賞体験に深い問いを投げかける。ジャンルの既存概念を打ち破る挑戦的な作品性が、日本映画の新たな扉を開こうとしている。