1962年の映画『キューポラのある街』で貧困の中でも健気に生きる少女・トミを演じ、日本中を感動の渦に巻き込んでから数十年。吉永小百合が積み重ねてきたキャリアは、そのまま戦後日本のヒューマンドラマの歴史と重なる。市井の人々の喜びや哀しみに寄り添い、人間性の深みを描き出すその姿は、時代を超えて人々の心を揺さぶり続けてきた。
近年話題を呼んだ主演作『こんにちは、母さん』でも、東京の下町で下着屋を営みながら前向きに生きる母親役を見事に演じ切り、観客の涙を誘った。若き日の清純派スターから、人生の機微を知り尽くしたベテラン女優へ。演じる役柄の深まりとともに、彼女の女優としての市場価値は高まる一方だ。