突然の腹痛と激しい嘔吐で始まる急性胃腸炎。体内の水分だけでなく、ナトリウムやカリウムといった大切な電解質が急速に失われていく。ここで最も警戒すべきは重度の脱水症状だ。
消化器内科学の現場において、単なる水や緑茶の摂取はむしろ逆効果になる場合があると指摘されている。体内の塩分濃度が薄まり、細胞の水分バランスが崩れる低ナトリウム血症を引き起こす恐れがあるからだ。日本消化器病学会の専門家らも「単に水分を摂るのではなく、電解質と糖分が最適な比率で配合された液体の摂取が不可欠」と口をそろえる。
喉が渇いたからといって、一度にコップ1杯分をガブガブと流し込むのは厳禁だ。胃の粘膜が過敏になっている状態での大量摂取は、伸展刺激となって更なる反射的嘔吐を誘発する。1回につきティースプーン1杯(約5ml)、あるいはペットボトルのキャップ1杯程度を、5分から10分おきにチビチビと口に含む。この「ちびちび飲み」こそが、嘔吐を抑えつつ確実に体内に水分を浸透させる鉄則なのだ。