当時、バラエティ番組で強烈なキャラクターとして消費されがちだった篠原ともえ。しかし、吉田拓郎は彼女の破天荒な表面の奥にある繊細な美意識と、ものづくりに対する並々ならぬ情熱を見逃さなかった。番組内のコーナーや楽屋裏で、彼女が手作りしたグッズや服の構造にいち早く注目し、「ともえは本物のアーティストだ」と周囲に語っていたという。
その後、彼女はタレント活動の第一線から次第に距離を置き、独学とたゆまぬ努力でファッションデザインの世界へと本格的に舵を切る。国際的なデザイン賞を次々と受賞し、世界的デザイナーとしての地位を築いた現在の姿は、まさに吉田拓郎が早くから確信していた才能の開花にほかならない。一時の流行で終わると思われた「シノラー旋風」の裏で育まれていたのは、時代を切り拓く本物のクリエイティビティだったのだ。