日本のポピュラー音楽の歴史を振り返るとき、彼の存在を抜きに語ることはできない。1970年代初頭、それまでの歌謡曲中心だったカルチャーに大きな風穴を開けた。
アコースティックギター1本で若者の胸を打つ言葉を吐露するスタイルは、アングラな存在だったフォークソングを瞬く間にメジャーシーンの主役に押し上げた。『結婚しようよ』の大ヒットは、日本の若者文化における決定的なターニングポイントとなった。従来の型にはまらないシンガーソングライターという生き方は、当時の若者に強烈な解放感を与えたのだ。
さらに『落陽』に代表される疾走感あふれる旅情と叙情性は、フォークの枠組みを超え、やがてニューミュージックと呼ばれる洗練されたジャンルへと結実していく。彼が開拓した表現様式は、その後の日本の音楽業界におけるポップス制作の土台を築き上げた。