メイクブラシの美しさと寿命を保つためには、毛質に応じた適切な洗剤選びが欠かせない。天然毛(リス毛や山羊毛など)の場合は、毛髪と同じようにタンパク質を補う弱酸性の専用クリーナーや中性洗剤(おしゃれ着用洗剤を薄めたもの)が適している。一方で、耐久性の高い高級シンセティック(合成繊維)ブラシであれば、油分をしっかり落とせる固形石鹸や専用のクレンジングソープが威力を発揮する。強烈なアルコール濃度の高い洗浄液は、毛先のキューティクルを痛め、毛抜けの原因になるため避けるのが賢明だ。
実際の洗浄プロセスでは、ぬるま湯に洗剤を少量溶かし、手のひらやシリコン製のクレンジングマットの上でブラシの毛先を優しく円を描くように滑らせる。決して力任せに揉み込んだり、根元まで湯に浸したりしてはならない。金口(フェルール)の内部に水が入ると、毛束を固定している接着剤が溶け出し、毛落ちやカビの発生を引き起こすからだ。すすぎは流水の下で毛先を下に向け、濁りが出なくなるまで丁寧に行う。
最も重要なのが乾燥工程である。水気を軽く絞った後、清潔なタオルで水分を優しく吸い取り、毛先を指で綺麗に整える。乾燥させる際は、絶対にブラシを立てて干してはならない。重力で水分が根元へ落ち、接着剤を劣化させるためだ。毛先が浮くようにタオルの端に横置きするか、専用のブラシホルダーを用いて毛先を下にした状態で、風通しの良い陰干しを行うことが鉄則である。