ネット上の簡易レシピには、法的な注意喚起や保存の科学が抜け落ちているケースが散見されます。自家製酒造りを楽しむ上で絶対に無視できないのが、自家製ゆず酒の酒税法ルールです。
日本の酒税法において、酒類に果実等を混和する行為は原則として「酒類の新たな製造」とみなされます。しかし、同法第43条第11項および同法施行規則により、一定の例外要件を満たす場合に限り、家庭内での自家消費用混和が認められています。その必須条件が「アルコール分20度以上の酒類を使用すること」です。
アルコール度数が20度未満のお酒(一般的なビール、ワイン、アルコール分15度程度の日本酒やみりん)を使用して果実を漬け込む行為は、家庭内であっても酒税法違反(無免許製造罪)に問われる違法行為となります。度数が低い酒に果実を漬けると、アルコール発酵が再開して意図しない酒類が生成される危険性があるためです。さらに、ぶどう類(山ぶどう含む)や米・麦などの穀類を混ぜることも固く禁じられており、仕込んだゆず酒を有償無償を問わず他人に譲渡・販売したり、自身の飲食店で提供したりすることも違法です。必ず20度以上の酒類を用い、同居親族とともに自宅内でのみ楽しんでください。
適法な仕込みを行った後の時間管理として、ゆず酒の漬け込み期間と飲み頃は以下のタイムスケジュールを遵守します。
- 仕込み〜1〜2週間後:薄く剥いた「果皮」を引き抜く(これ以上浸けると苦味が出る)。
- 1ヶ月〜2ヶ月後:「果肉」を静かに引き上げ、清潔なガーゼやネル布で液体をゆっくり濾過する。
- 飲み頃:濾過直後から飲むことは可能ですが、仕込みから約3ヶ月〜半年経過した時点でアルコール分子と水・果汁分子の結合が進み、刺激感が消えてまろやかな口当たりへ変化します。
完成後のゆず酒の賞味期限と正しい保存方法については、果実を引き抜いた原液であれば冷暗所(または冷蔵庫野菜室)での密閉保管で約1〜2年が目安です。果実の酸により金属フタが腐食する恐れがあるため、ガラス製やシリコンパッキンの密閉容器を用い、直射日光を遮るアルミホイル等で瓶を包むと香気成分の劣化(光劣化臭)を長期にわたって防止できます。