「根も葉もない噂」と「デマ」や「嘘(虚偽)」にはどのような違いがあるのでしょうか。言葉の定義として、「嘘」は発信者が意図的に真実と異なることを口にする行為を指します。一方「デマ(デマゴギー)」は、特定の政治的・社会的意図を持って流される扇動的な虚偽情報です。それに対して「根も葉もない噂」は、悪意の有無にかかわらず、事実の確認を怠った伝言ゲームの果てに生じる歪みも多く含んでいます。
では、なぜ人は根拠のない噂を信じ、拡散してしまうのでしょうか。社会心理学の観点からは、主に3つの背景が指摘されています。
第一に、「認知的完結欲求」です。人間は曖昧な状況や不安な状態に置かれると、白黒ハッキリした説明を求める傾向があります。未確認の情報であっても、もっともらしいストーリーであれば安易に飛びつき、不安を解消しようとします。
第二に、「確証バイアス」の存在です。「あの人はミスをしそうだ」「あの企業は不祥事を隠しているに違いない」といった先入観を抱いていると、その思い込みを補強する噂話だけを選択的に信じ込んでしまいます。
第三に、SNS特有の同調圧力と承認欲求です。「早くシェアして注意喚起しなければ」「衝撃的なネタを投下して反応が欲しい」という動機が働き、事実検証を挟まないまま無自覚に拡散加担者となってしまう構図が定着しています。